バッハの無伴奏バイオリンのソナタとパルティータ全6曲の楽譜は、日本国内外を含め様々な形態で入手できます。

最近は電子楽譜でタブレットでみるという場面も増えてきています。

その中で、特におススメしたいのが全音楽譜出版社から2020年8月15日に出版された楽譜です。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001ー1006 豊田耕兒編

判型/頁 :菊倍判/80頁
JAN :4511005106384
コード :ISBN978-4-11-313001-4
定価(税込) :2,200円 (本体2,000円)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ:全音オンラインショップ (zen-on.co.jp)

全音楽譜出版社の公式サイトでは「立ち読み」も用意されています(以下のリンク)。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ (jpn.org)


この楽譜がおススメの理由は、単に出版年度が新しいからという訳ではありません。

最大の理由は、豊田耕兒による奏法注釈が付いていることです。

上記全音楽譜出版社の公式サイト「立ち読み」の最後のところで、奏法注釈の最初の部分を確認できます。

なかなか深い洞察にもとづいた注釈には、思わず唸ってしまいます。

シャコンヌの最後のトリルは要るのか要らないのか、パルティータ第3番のガボットのトリルは上の音のaではなくgisからにするべきだ、など。

さらに豊田耕兒が師事したエネスコの指使いや、この曲の解釈で語った貴重なコメントも記載されています!

無伴奏バイオリンのソナタとパルティータ全6曲を弾こうとするヴァイオリニストには是非チェックしていただきたいです!

また楽譜でも、解釈の異なるところは2通りの指使いが提示されているなど、お手元に置いて参照いただきたい楽譜だと思います。

追記

ネットで大変貴重なインタビュー記事を発見しました!

スズキメソッドの公式サイトで「豊田耕兒先生にインタビュー」というものです。

ご本人による、さらに貴重なお話が満載です。

引用・転載を許諾されていませんので、リンクでご案内いたします。

まさに必見です!

豊田耕兒先生にインタビュー

https://www.suzukimethod.or.jp/monthly/toyoda-bach2.html

このサイトは「スズキ・メソード音楽教室」となっていて、「Monthly Suzuki」というブログのようなページです。

サイトの内容をみてみると、前月にはスズキメソッドの先生方によるコメントも掲載されていました。

豊田耕兒先生のバッハ無伴奏

https://www.suzukimethod.or.jp/monthly/toyoda-bach.html

豊田耕兒のバッハの無伴奏バイオリン

ちなみに、豊田耕兒(豊田耕児という記載も)は、日本で最初にバッハの無伴奏バイオリン全曲録音をされた人だそうです。

スズキメソッドで研鑽を積まれた方で、鈴木鎮一の著作にも「教会で耕児君がシャコンヌを弾いてきた」というくだりがあります。

そのCDですが、「豊田耕兒の芸術 -J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番-第3番/無伴奏パルティータ第1番-第3番 (4/20-30/1971)」という2枚組です。

現在は廃盤なので入手不能ですが、いずれ再販されることを願わずにはいられません。

発売日2007年09月05日
規格品番NCS-591
レーベルTower Records Victor Heritage Collection
SKU4988002521036

商品の紹介

★日本人初となる全曲録音を成し遂げた記念碑的ディスク!待望の初CD化!

豊田耕兒はパリ音楽院卒業後、エネスコやグリュミオーのもとで研鑽を重ね、1962年からの17年間はベルリン放送響のコンサートマスターとして、同オーケストラをリードしました。また、グリュミオー率いるグリュミオー弦楽四重奏団のメンバーとしても活躍、録音も残しています。1971年に録音されたこのバッハは、日本人初の全曲録音盤として燦然たる輝きを誇る記念碑的ディスクです。端整なフォルムと微妙なニュアンスを正確無比に表現する技巧は、名門オーケストラをリードした経験に裏打ちされた高い芸術性を示したものです。(2009/04/08)

バッハの無伴奏曲。この一挺のヴァイオリンに課せられた華麗で重厚な音楽(元々一挺のヴァイオリンでは無理かもしれない)を録音するという意味で考えたとき、楽器の録音処理はバルトークやコダーイの時と同一ではないはずである。しかし録音のための音場を選定するにあたって、曲想に適したと言うより、まず演奏者と楽器が創り出す音色、音感が最上の状態で得られることを第一とするのは、まったく正しい判断である。演奏家は曲想によって、彼自身の投影をも含めて、作曲されたものを演奏する。従って、音場が同一であっても、録音側で意識的に何かを作り出すのは全く危険なことで、演奏自体を録音と言うプロセスを経てもなお、録音されたものであると言う観念を超えたものをまず創り出すべきであると思うが、その上にディレクターの音楽的意識が投影して来るのは、録音のためのスタッフとして存在している以上当然なことでもある。 それ故、如何なる名演奏であっても、ディレクターの音楽的意識が演奏の些細な表現の変化と、それに伴う内面的流動とに鋭敏に感応しない限り、名演奏の録音は単に音楽の記録にとどまり、時には逆の効果さえも出てくることもあり得るのである。このようにディレクターは、常に作曲家と演奏家との間に立たされているが、今度のバッハの曲の場合、井阪ディレクターの位置は、バッハの側より、むしろ豊田耕児の側に近いところに存在しているようである。これはこれで一つの行き方である。ディレクターの豊田への傾斜が無意識に、そのような位置づけをしたのであろうが、前述のように、意識的に、バッハに近づくと言う、作為的なものが出てくる危険性からは遠くなり、かえって豊田のバッハ研究に共感しての録音が、透明度の高い、素朴で美しい音楽の世界を創り出したと考えられるのである。言葉をかえれば、1700年製のガルネリが豊田耕児の真摯な演奏と井阪ディレクターの録音芸術創造への情熱によって、バッハの曲想の中で、今や無形の美しい変態を遂げているのである。(オリジナルLP[VX-70/2]ライナーノーツ~山崎 謙氏)(2009/04/08)

豊田耕児/豊田耕兒の芸術 -J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番-第3番/無伴奏パルティータ第1番-第3番 (4/20-30/1971)<タワーレコード限定> (tower.jp)

収録内容

構成数 | 2枚

合計収録時間 | 02:17:03豊田耕兒の芸術


【曲目】J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲BWV.1001-1006
【演奏】豊田耕兒(Vn)
【録音】1971.4.20-30、川口市民会館

豊田耕児/豊田耕兒の芸術 -J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番-第3番/無伴奏パルティータ第1番-第3番 (4/20-30/1971)<タワーレコード限定> (tower.jp)

追記

今回改めて豊田耕兒の師であるエネスコのバッハの無伴奏バイオリンに研究・分析・研鑽のすごさに驚きました。

そういえば、豊田耕兒にはもう一人の師がいます。

グリュミオーです。

グリュミオーもバッハの無伴奏バイオリン全6曲の録音を残しています。

グリュミオーのバッハへの傾倒も尋常ではなく、最初に発売された際のジャケット(当時はレコード)は、自身の写真ではなくバッハの自筆譜の写真だったそうです。

こちらは廃盤のようです